釣道の頂を目指して

巨大魚に心を奪われたアングラーの心の掃き溜め。文多め、釣果少なめ。臆病で小心者の釣り人が描くサクセスストーリー(予定)。

12/21-24 遠征

遠征中心のスタイルに変わり、ブログのスタイルを釣行記風に変更しようと思う。

 

卒業まであとわずかで、論文提出の締め切りが迫っている中での強行軍。

もう2020年は遠征はしないと思っていたが、何もない一年になるのが悔しくて。

昔の自分だったら確実に行かない方を選択していたが、焦りというのは、幸か不幸か、多分、自分を少し変えた。

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結局本命は釣れなかったけど、いいリフレッシュにはなった。

 

今はようやく論文の提出が終わり、一段落ついて、春休みの計画を立てているところである。

夢みたいな海外遠征を予定していたが、どうやらそれは夢で終わりそうだ。

やっぱり学生のうちは学生にしかできない釣りに徹するべきだった。

金がないならどこにでも歩いていけばよかったし、同行者がいないならどこにでも1人で行けばよかった。

人生初心者なので、難しい。

 

多分、これから、釣りをプライオリティにするのは、並大抵のことでは無い。

もちろん、自分は今はそうするつもりでしかいないのだけれど、結婚、出世、その他もろもろ。

釣りは、人の人生を変えてしまう。

そう考えると、これまで満足できる結果が出せなかった方から見れば、学生のうちに納得のいく結果が出て次の目標に向かって進むことができるというのは、ある意味では羨ましく思う。

でも、やっぱり釣りと結婚するのが、釣り人としての幸せなのかもしれない。

それでも、俗物なので、どうしても素敵な人を見つけたくもなってしまうのです。

僕は釣りバカ日誌を泣きながら見ている24歳の男なのです。

 

とりあえず、(まだ発表とかいろいろ残ってるけど、)ラスト春休み、がんばります。

Re:start

長らく閉じていたブログを再開しようと思う。

久しぶりにブログを書きたい心持ちになったので。

 

・・・

 

新型ウイルスの出現をはじめとする社会の激動の中で、自分を取り巻く状況も少なからず変化した。

釣りはもちろんのこと、研究で島に行くことも叶わなくなり、就活は全てオンラインで行われることになった。

 

そんな激動の中でも時間だけは変わらず、冷酷なほどに淡々と己のペースを刻み続け、学生生活は着実に終幕へと近づいていった。

クソみたいな就活も終わった。

食べ物が喉を通らないほど精神的に追い込まれたけど、自分なりにこの先どうやって生きていくべきかを死ぬほど考えるきっかけになった。

その過程でようやく俺は大人になる決心ができた。

 

ーー思えばこの5年、それはもう直ぐ6年になるのだけれども、散々好き勝手やらせてもらったと思う。

お金の心配なんかもありがたいことにさせてもらえなかった(釣りで常に金欠なのは別の話だけど)。

当然親だけでなく、先生だったり釣り人だったり友人だったりいろいろな人にお世話になった。

本当に恵まれているし、感謝してもしきれない。

 

だから、大人になるつもりだった。

恩返しなんて恥ずかしいことは言わないけれど、ここが腹の決め所かな、なんてことを思った。

 

理想の大人になるために、ありがたいことに自分を認めて頂いた給料も福利厚生も上の会社を蹴って、自分の一番好きなことではなく、より人の役、社会の役に立つであろう仕事を選んだ。

今まで諦めて見ないフリをしていたなけなしの才能と向き合い、研究者になる決意をした。

自分が思っていた以上に、きっと自分は真面目だった。

 

「こんな自分でも世の役、人の役に立ちたい」

スイッチが入り、朝から晩まで机に張り付いた。

今まで読んだことのない量の論文を漁った。

そして、社会に爪痕を残すような大したものでは全くないのだけれども、論文を一個書き上げた。

釣りへの未練はなかったわけではなかったけれど、センスがない自分にどこか諦めがついたようにも思えたし、もっと人としてやるべきこと、やらなければならないことがあるように本気で思えた。

 

自画自賛に過ぎないが、「大人としての第一歩」を踏み出せたような気持ちがして清々しかった。

 

「自分の一番好きなことではなく、自分のやるべきことをやろう」

そんな思いが強くなるにつれ、それまで張り詰めていた釣りへの想いは社会的な自粛ムードが次第に緩んでいくように、違和感なく消えていった。

 

 

 

 

否、消えていくように思われた。

 

・・・

 

 

そして4ヶ月を経て、僕はこのブログを書いている。

 

勘の良い人は気づいただろうが、僕は上のような綺麗な話を書くためにブログを再開したわけではない。

 

早い話、釣りを諦めることなんて出来なかったのだ。

「決意の日」から1ヶ月も経たないうちに頭は釣りのことで完全に支配され、頭の中ではそこかしこでナブラが起こり巨大魚が乱舞していた。

 

この4ヶ月で2回のGT遠征を含む4回の遠征をした。

研究なんてまともに出来る状況ではなかった。

研究室に行くよりもバイトをする時間の方が長いような情けない有様だった。

 

そして、直近のGT遠征が今、僕にこのブログを書かせている。

 

・・・

 

今年の初回のGT遠征では周りの人は魚を掛けているのに、僕といったら何故かヒットさせられたのはカスミアジのみ。

 

そして、その遠征はイソマグロ君と一緒に行ったものだったのだけれども、彼との技術の差を痛感させられた。

特筆すべきはファイト技術の差。

…綺麗なファイトだった。

考え方も洗練されていた。

ロックショアアングラーであれば知らない者などいないであろう「磯の作法」の著者、青木氏を伝説たらしめた二大舞台は、皮肉にも僕と彼との間に一生かかっても追いつけないような実力差を知らない間に生み出していたのだった。

 

そこから1ヶ月は何をしていてもビッグゲームのことしか考えられなくなった。

何よりヒットを得られなかったのが悔しくてたまらなくて、いろいろと改善して次の遠征に挑んだ。

 

次の遠征では、悪い潮周りにも関わらずまさかの4ヒット。

正体不明が1本、イソマグロ1本、キハダ2本。

 

しかし、全て獲れず、技術不足を痛感させられた。

夢にまで見た憧れの魚たちと、ようやく糸一本で繋がれたっていうのに…。

果たしてこの魚達と人生であと何回繋がることが出来るだろうか…。

今まで自分がしてきた力づくのファイトではどうすることもできなかった。

 

 

ーー運がない。

…今までそう言われてきた。

 

ーー運がない。

…今までそう言ってきた。

 

だが、初めてドでかいやつらと糸一本で繋がって確信したことがある。

 

「ビッグゲームはすべてが運じゃない」ということ。

 

もちろん運に大きく左右される類の釣りであるのは間違い無い。

しかし、糸が根に触れた時にどうするか、魚が嫌な方向に走った時にどうするか、ファイト中に起こり得る「問題」を最悪にまで持っていくのか、最小限の被害に留めるのかはアングラー側の責任も少なからずある、そう感じた。

自分は今回正しい判断を最終的には一切できなかったので強くは言えないのだけれど、それはタラレバの話などではなく、何故か確信に近いものとして感じられた。

そして、単にデカい魚と繋がるだけでなく、そこにもビッグゲームの面白いところがあると初めて気づかされたのだった。

 

釣りに絶対はない、とは思う。

しかし、この世のすべての事象には偶然なんてものはなく、そのすべてには(それが本人の意図するものではないとしても)何かしらの因果があるはずで、一生に一度の、獲れるかどうか分からない巨大魚を手にする確率を少しでも上げるためには、物事の結果を運なんて曖昧なもののせいにせず、その因果に本気で向き合っていく姿勢を持たなければならないと思う。

「良薬は口に苦し」とよく言うが、闘いに破れた時、その苦い敗北を毒とするか、良薬にできるかはその人次第でしかない。

その過程は決して楽しいことばかりではないだろう。

寧ろ恐ろしいものでさえあると思う。

何度も書いているが、物事に本気で挑む時、センスの差が明確に出るのは常だし、結果の出ない中で物事を突き詰めれば突き詰めるほどに現実は残酷なほどに襲いかかってくる。

もしかしたら、そんなふうに本気で向き合っても一生報われないなんてこともあるかもしれない。

いや、理不尽なことに人生なんて大多数がそうであろう。

それでも、やっぱり人間が持ち得る短い一生の間に憧れを手にしたいのであれば、試行錯誤は必ず必要だと思う。

「運」のみを頼りに闘いに挑み夢を掴もうとするにはヒト一人の人生なんて短すぎる。ちっぽけすぎる。

人生、明日死ぬかもわからない。どうか、この命が、この情熱の炎が消える時に、笑っていられますように、せめて出来ることはやっておきたい。

そう強く思って、これからも夢を見続けたいと思う。

 

・・・

 

さて、結局僕は大人になんかなれなかった。

 

ただ、どっかのブログにも書いてあったけれど、自分のやりたいことを我慢してやるべきことをやるのが「大人」なのだとしたら、一生僕は「大人」になんてなれないと思う。

「一生に一度は」なんて言葉よく耳にするし、自分も言ってるけれど、本当ならば何度もやりたいことを我慢して時間を浪費していくのは寒すぎる。

そんな「大人」には絶対になりたくない。

それが「大人」ならば絶対になりたくない。

 

初めから簡単に諦められるくらいなら、こんなに釣りを好きになったりはしない。

大好きになったものが金にならない、社会的にも良しとは言われない、たったそれだけのことなのだ。

別に僕が悪いわけではないだろう。

周りに何と言われようと、僕は釣りで夢を掴みたいし、夢を見続けていたい。

本気でそう思う。

 

 

しかしこれから先、夢を追い続けていく過程でいろいろな壁にぶち当たるだろう。

そこには釣りのスキルやセンスの問題ばかりではなくて、もっと避けては通れないどうしようもない問題もあるだろう。

 

ーー本当に強い憧れを持っていても、将来、それもそう遠くない将来に、必ず釣りを1番のプライオリティにできなくなる時がやってくる。

必ず体が言うことを聞かなくなる時がやってくる。

 

その時に笑って終われるためには運とか言ってる場合では無くて、試行錯誤を繰り返して技術を少しでも上げていく他ない。

 

僕には時間がない。

だから、まだ僕は「大人」になんかなってる場合じゃない。

 

頑張っていきます。

 

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GTの生態

最近、GTの生態に関する情報を度々求められている。

まあ自分は釣りのセンスは多分ないのだけれど、腐っても理系の大学院生なので多少は英語を読めたり論文を読めたりするわけである。

自分の得意分野で勝負するじゃないけれど、できることはやっていこうかなという感じでGTの生態について調べていこうかなと思いついた。

そこまでモチベは高くないけれど笑。

あと、多分というか絶対こんなことしている場合ではない笑。

それにこの記事がきっかけで知り合いがこのブログを見つけたりしたら非常に恥ずかしいので自分の中で留めたかったけど、多分それではあんまりやる気が起きないので記事にする。

知り合いの方はどうぞ「このブログは見なかった」という体で自分と接してください笑。

 

さて、最初から夢のないことを言うけれど、生態を知ったところで釣りに役立つかどうかなんて正直分からない。個人的には正直微妙だとさえ思う。

きっと日々磯にたって海と魚に向き合っているアングラーの方がGTという魚を(釣り魚という観点や側面では)知っているとさえ思う。

それでも藁にもすがる思いの方もいるようなので笑、ちょっとでもそういう真剣な人の参考になったら嬉しい。

 

まず始めに注意。

読み進める上でいくつか留意して頂きたいことがある。

1つ、GTの研究はおそらく熱帯の海域を中心に進められているので(日本だと研究価値が低い)ここで紹介する生態が日本の温帯~亜熱帯海域のGTに共通しているかどうかは分からないということ。

2つ、魚には個体差がかなり存在するということ。研究というのは種に着目してその種全体の傾向を提示するものであるので、個体レベルで考えると例外も多く存在すると考えた方が自然であると思う。

3つ、研究が全てではないということ。というのも、研究というのは研究者の主観というものがどうしても入ってしまうものであるからだ。着目されやすい目立った行動ばかりがクローズアップされたり、偶然の現象がさもその種の特徴であるかのように大々的に取り上げられてしまう可能性だってある。また、良い論文と悪い論文が存在するというのも気をつけなければならない事実である。これに関しては論文のアブストラクト(要約文)から結論を抜き出すだけでなく、材料と方法や結果などの項目を実際に自分で読んで結論を検討した上で判断する必要があるため、しっかりと研究をやったことがある人、その道のある程度の知識を有している人でないと難しいと思う(自分も多分できない)。正直論文の全てを読む時間は無いので、ここでは論文のアブストラクトや論文をまとめたサイトから得た情報を中心に記述していくがそこに留意して読み進めて頂きたい。一応出典も提示する努力をするので、気になった方はそちらも参照するようにしてください。

 

あと、経験が浅い自分の妄想や持論も含まれているのですがそこはご容赦を。出来るだけ明示して書くけれど。

論文にしても誰かの話にしても情報を盲信せず取捨選択して自分なりにGTという魚の像をまとめていくことが重要だと思う。

釣りは別にアカデミックなものではないので、間違った偏見や先入観がたとえあったとしても、それが釣果に繋がってさえいればさほど問題だとは思わないので。

何か間違いがあったら是非教えてください。

 

前置きが長くなりましたが、本題。

 

GTの基本情報

和名:ロウニンアジ

英名:Giant Trevally(ちなみにTrevallyはトレバリー↓ではなくトレバ↑リー↓みたいな感じで読む)

学名:Caranx ignobilis(学名は論文検索したいときに役立つ)

ヒラアジの中でも最大になる種で、これまでの最大記録は170cm、80kg。

 分布は次の図の通りで実はかなり広い(ロウニンアジ - Wikipedia)。大西洋には分布していないようだ。大西洋にもヒラアジ系の魚はいるがGTがいないのが面白い。最近になってペルー・エクアドル周辺で新たな個体群が発見されたらしい。北限の日本だけでなく世界に繰り出して狙うべき魚であると思う。

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ロウニンアジの分布

 

GTの食性

年齢や生息海域によって多少異なるが、多くの場合主に魚を中心に補食しておりその他にも甲殻類、頭足類(イカ、タコなど)、貝類などを捕食しているようである。

年齢や生息海域での食性の違いは次のような例が挙げられる。

・ハワイ島ではブダイ・ベラ科などの魚類が胃内用物の大部分を占めており、ロブスターなどの甲殻類イカ・タコなどの頭足類も見つかった。ブダイ・ベラ科などのサンゴ礁に生息する魚を中心に補食していたことから、サンゴ礁の浅い海域を中心に採餌活動をしているようであるが、イカやクサヤモロなども見つかったことから外洋に移動して採餌活動することもあるようである。

・アフリカ沖でも胃内用物の中心は魚類であり(なんとウナギまで!)、他にはイカやシャコ、ロブスターなどの甲殻類も見つかった。

・ハワイのKaneohe湾内では小型のロウニンアジの胃内用物の89%(体積比)は甲殻類であり、魚類はわずか7%であった。

・いくつかの海域で、サイズの増加とともに魚類への依存度が高まった。

ここから分かることは、GTが様々なものを食べているということ笑。以前twitterで話題になったように海鳥にド派手にバイトしてみたり、胃内容物から小さいウミガメやイルカなどが発見されたりする場合もあるようである。また、活き餌だけでなくカツオの頭やサンマの切り身といったデッドベイトなどにも食いつくし、かなりいろいろなものに興味を示す悪食であるようだ。

しかし、Kaneohe湾の例のように年齢や地域によっては偏食している個体群も存在することに注意が必要であると思う。また、根拠はないが個人的にはGTは大型であっても偏食する魚であると考えており、国内では奄美のヤシパターン?(キビナゴについてルアーへの反応が極端に悪くなるらしい、名前はうろ覚え)やそれ以外でも瀬際の5cm位のベイトを捕食して30kg位のGTがボイルしまくってるのにルアーには全然反応しなかったなんて話を聞いたことがあるし、海外でもオマーンなんかでは大量のカニが産卵かなんかで海面に湧き始めたとたんボイルしているGTのルアーへの反応が渋くなったという話もみたことがある。

また、GTのエサとして甲殻類というのは意外かもしれないが、かなり重要な情報かもしれない。自分が釣ったGTの胃にもセミエビが入っていたし、話を聞くと結構な割合で甲殻類が入っていたりするようだ。GTではないがナンヨウカイワリの胃なんかにもシャコのみが大量に入っていたことがあるし、キビナゴが大量にいる湾の中でカスミアジがチヌ狙いのワームずる引きに反応したのも見たことがあって(ただしサイズは大きくない)、ヒラアジ系の魚はサーフェスだけではなく実はボトムにもかなりの興味を持っているようである。

まあ、結局は活性が上がったらなんでも食べるんだろうけど、それ以外の時はルアーのサイズやカラー、動きなんかはかなり重要になってくるかもしれない。そういった点でルアーセレクトは時に釣果を分けるほど重要である可能性がある。GTと言えばキャスティングのイメージだが、ボトムを探れるジギングで無きゃ食わないパターンなんかもあるかも笑。

あと、釣ったGTの胃内容物を調べる際は、胃内用物が食性の全てを物語るわけではないということに注意が必要だろう。魚はフックアップすると胃の中身を結構な確率ではき出すし、消化されにくい甲殻類の殻なんかは胃に残りやすいので、胃が空っぽだったからって何も食べていなかったとは言い切れないし、甲殻類の殻のみが出てきても甲殻類を偏食しているとはちょっと言い難い。注意が必要である。

自分は今後GTの食性や年齢を調べるために釣ったGTはキープするつもりであるが、殺したくない場合は長いスポイトかなんかで胃内容物を調べられるかもしれない。淡水魚のイトウだとそうやって胃内容物を調べる研究があるみたいなので(麻酔が必要かも笑)気になる方は調べてみると良いかもしれない。

(追記:調べてみたらストマックポンプといってバス釣りなんかでは結構使われているらしい。大きいものを作る場合は次のリンクが参考になるかも。

https://flyfisher.tsuribito.co.jp/archives/mega-stomachpump )

 

GTの採餌行動について

ロウニンアジは成長すると主に産卵時しか群れを作らないが、まれに群れで狩りを行うこともあるようである。群れを形成するようなベイトを補食する場合、GTが群れで狩りを行うと狩りの効率があがるらしい。ただ、例えばサンゴ礁のベラなど群れを形成しないベイトを捕食する場合は、群れでの狩りというのはかえって非効率になるようである(まあ当然)。よくGTを釣ったら何匹かGTがついてきた、という話を耳にするが、これは群れで狩りを行っていた=群れを作るようなベイトを捕食していたということなのかもしれない。

GTが群れで狩りを行う場合はリーダーとなる個体がいて、その個体がベイトの群れに突っ込み、ベイトを食べながら群れを撹乱して群れから外れたベイトを他のGTが食べる、という感じのようである。

また、GTがハワイモンクアザラシ(熱帯にいるアザラシらしい)やサメについて回遊し、アザラシやサメが取り損ねた餌を横取りするような行動も観察されている。この事実もサメを釣るとGTがついてくる時がある、というようなよくある話と一致する。サメがいたらもしかしたらチャンスかも。イルカについたりは、さすがにないかな笑?あと、サメを釣った時についてきたGTはサメの食べているエサ(=ルアー)を狙っているであろうから、そういう時ルアーを投げたら一発で食ってくるかもしれない。サメとファイトしている釣友をとるか、GTをとるか、究極の二択。まあまず間違いなく後者である。

 

GTの成長

ロウニンアジは熱帯では生まれてから1年で約18cm、2年で35cm、3年で50~60cm程度に成長するようである(おそらく尾鰭長)。また、別の研究では生物の成長を推定するために用いられるvon Bertaranffy成長式にGTの年齢と体長をあてはめたところ、約8年で1m程度、24年で1.7m程度に成長することが推定された。

簡単に自分でvon Bertaranffy成長式を図示してみるとこんな感じ(1歳18cm 、2歳35cm、3歳55cm、8歳100cm、24歳170cmとして推定)。あくまで種の平均的な成長なので個体差は当然ある。

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ロウニンアジの年齢と体長

ただ、温帯~亜熱帯海域では熱帯と異なりGTの活動が低下するであろう冬が存在するため、これよりも成長が遅くなることが想定される。しかし、温帯・亜熱帯に生息しているGTが冬に暖かい海域まで回遊していたり、冬でもそれほど活動が鈍らなかったりすればあまり熱帯と成長は変わらないかもしれない。

魚の年齢は魚の頭部にある耳石に特殊な処理を施し、耳石に形成されている年輪を数えて調べるのが一般的である(詳しくはhttp://www.fklab.fukui.fukui.jp/ss/jiseki/uonojisekinituite.htmlhttp://www.fklab.fukui.fukui.jp/ss/jiseki/jisekinokazoekata.html)。

耳石に特殊な処理を施さなくても年輪を観察できる魚種もあるが、GTが果たしてそうかは分からない。特殊な処理を施さずに見る場合は、次の動画が参考になる。耳石の取り出し方や位置は魚種でさほど変わらないのでやってみてほしい。ただカブト割りは難しいと思うので、そういうときはやや手間ではあるが頭をゆでると骨が分離しやすくなり何も使わなくても手だけで取り出せるのでそちらのやり方の方が良いだろう。

youtu.be

鱗も年齢を調べるのに使えないことはないが、GTの鱗はかなり小さいため難しいかもしれない。

 耳石を持っている方、年齢を調べた方、是非教えてください。よろしくお願いします。

 

GTの大型・高齢個体は沖へ移動することが知られており、時に80m以深にまで移動することもある。しかし、そのような個体もしばしば浅い海域まで戻って産卵・摂餌を行うようである。

 

GTの性成熟・産卵

性成熟は熱帯では3-4歳、50-60cm程度で起こる。これも温帯ではどうかわからない。

ハワイ諸島では性比は雄:雌=1:1.39となり、雌の方が多いようである。

産卵は多くの場所で水温の高い月に行われるようであり、場所によって産卵期は次のように異なる。

南アフリカ:7~3月。ピークは11~3月。

フィリピン:ピークは12月~1月、6月と二つあるが、12~1月の方が盛んに行われる。

ハワイ:4~11月。ピークは4~8月。

熱帯でも季節性があるのだから多分日本だと夏~秋かなあという感じ(完全に個人的な意見)。

産卵は月齢によっても影響されることが分かっており、岩礁帯やサンゴ礁帯、沖の大陸棚などで群れで行われる。

ちなみに、ハワイではカスミアジとの雑種の88lbが記録されている。

カスミアジとGTは産卵時を含め一緒に群れを作る場合があるらしく、それが雑種の原因と考えられている(http://zoolstud.sinica.edu.tw/Journals/46.2/186.pdf)

 

とりあえず今はここまで笑。集中力が切れてかなり尻すぼみに笑。

結局全然出典を書けなかった。注意します。

また、移動や生息場所などについて順次更新していきます!

あと、自分で論文調べる場合はgoogle scholarなどがお勧めです。まあ、そうでなくてもgiant trevallyとググれば論文をまとめたサイトなどがたくさん出てくると思います!