釣道の頂を目指して

巨大魚に心を奪われたアングラーの心の掃き溜め。文多め、釣果少なめ。臆病で小心者の釣り人が描くサクセスストーリー(予定)。

11月30日

11/30

また島へ戻る。

 

行きっぱなしだと大学の単位が取れないので一旦授業を受けに東京へ戻った。

試験もなく先生の話をひたすら聞くだけの講義を寝ながら受ける。

学生としての意識の低さに自己嫌悪に陥るも、なんとか卒業のための単位は確保できそうだなと安心する。

 

授業以外では半年ぶりにイソマグロ君に会って話をした。

釣りのことより支えてくれた人、周りの人の話とかで盛り上がる。

でも釣りの話を聞くとやっぱりすげえな、と思う。

金が無さすぎて奢れなかったのが情けない。

23にもなって俺は何やってるんだろうなあと多少自己嫌悪に陥る。

 

別の日には苦楽を共にしてきた相棒に会って話をする。

将来のこと、卒業釣行のこと、現状に対する至らなさ、などなど。

しつこいことが嫌いな奴だけれど、こういった類の話は何度しても嫌な顔はされない。

だから俺は会う度に似たような話を何度も何度も馬鹿みたいに繰り返す。

きっとむこうもそんな時間が嫌いではないんだろうと勝手に思いこんでいる。

プラスαでアホみたいな夢の話もしてみる。

残された時間はわずかだとお互い分かっているけれど、そんなことには気づかないフリして話す。

同じ想いをもつ仲間の存在は本当にありがたい。

こいつとならどこへだって行けるし、何だってやれると本気で思える。

頑張ろう、とお互いを励まして別れる。

 

さらに別の日には夢を追いかけるお兄さん(お兄さんは違和感?)と一年ぶりくらいに会う。

その後が気になって連絡してみたらなんだかんだで焼肉をご馳走してもらってしまった。

話を聞いて夢を追いかけ続ける大変さを痛感する。

ジャンルこそ大きく違えどその覚悟と生き様はカッコいいと思う。

最後のチャンス、どうにかうまく行って欲しいと心から願う。

 

 

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さて、気づけばもう島に来ることができるのも折り返しを過ぎていてかなりの焦りを覚える。

残りの時間をどうしようかと悩むが、できることをしていくしかないと自分に言い聞かせる。

 

飛行機に乗ると隣の席は美人のお姉さんで若干テンションが上がる。

どこかで見たことあるなあと思っていると脳裏に中学の同級生の顔が浮かぶ。

ああ、あの子に似てるんだなあ、と一人で納得し「ちょっぴりオタク入ってたけど可愛かったよなあ」なんて思い出に浸る。

あの子は今何してんのかなあ、頭良かったからひょっとしたら大学院とか行ってんのかなあ、とかしばし根拠の無い推測をしてみる。

「俺は相変わらずうだつのあがらないことやってるよ」と彼女に話しかけるようにボソッと自嘲してみる。

それを聞いてあの頃みたいに笑ってくれたら俺も少しは救われるのかな、と意味の分からないことを考えてみる。

 

飛行機を降り、船着場へ向かう。

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例のフェリーを見つけ、すぐ側まで行って物思いにふける。

これと違う船に乗らなければならないのは環境や才能のせいなんかではなく、自分の覚悟と情熱のなさのせいなのだとまた自嘲し、しばし感傷に浸る。

そしてふといつからこんなネガティブになってしまったんだろうかと我に帰り少し笑う。

 

…もしかしたら一歩を踏み出す勇気さえあれば、後は案外なんとでもなるのかもしれない。

かの植村直己だって大学時代は「ドングリ」と馬鹿にされてたんだぞと自分に意味もなく喝をいれてみる。

でもどうやら今更それで動く心では無いようである。

 

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カップ焼きそばで昼飯。

 

フェリー待合所では以前バイトさせてもらっていた島の宿のオーナーに偶然出会った。

短い期間だったけれど自分のことを覚えてくれてたのが嬉しい。

ちょっとだけ話をして別れる。

 

今回は別の島で2泊してからいつもの島へ行くのでやや面倒臭いのだが、いつもよりちょっといろいろあったので「今回こそ何かあるかもしれない」と根拠もなくワクワクしながら船に乗り込む。

 

奇跡でもなんでも起こしてやる。

俺は負けねえ。

厨二病っぽく心で呟いてみると多少心も軽く感じられる。

 

別の島では研究のためのサンプル確保。

なかなか思い通りには行かず、研究の方でもかなり焦りが募る。

理研研究者の境遇に同情しつつも、自分には不正を貫き通す強さなんてないから大丈夫だと寂しく胸を張ってみる。

 

そんなことを考えながら歯を磨こうとしたら歯ブラシを便器の中に落とす。

一日の落ちは完璧だったかもしれないと笑ってみる。

 

 

12/1 追記

今日も夕方からサンプリングがあるけれど、その前に時間があったのでちょっぴり観光。

いくつかある宿の中で今回の宿を予約した理由の一つが自転車無料貸し出しがあるという点。

しかしいざ借りてみたらまさかのオンボロ自転車だった。

平地を走るのでさえ息が切れる。

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高いところがあったので登ってみる。

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馬鹿と煙は高いところが好き。

木が折れそうで怖かった。

しかし上に登ってもあまり良い景色ではない。

何のために建てられたのだろうとしばし考えてみるが特に理由が思いつかずすぐに降りる。

 

オンボロ自転車で帰る。

帰りは登り坂。

1km以上続く登り坂を一度も足をつかず登ってみる。

途中諦めようと思ったが、汗だくの息切れ状態で登り続ける。

終わったら足はパンパン。

本当に意味もなく自分を追い込むことが好きである。

この妙な趣味は小さい時から変わらない。

自分のルーツなのかもしれないと気づく。

無駄な達成感と爽快感に優しく包まれ満足する。

 

サンプリングの方は昨日はダメダメだったけれど、今日は良くとれた。

首の皮一枚繋がった感じでとりあえずは安心する。

 

 

…早く釣りがしたい。

結局釣っても自信なんてものはつけられないのかもしれないけれど、とりあえずでかいのを釣って死ぬほど叫びたい。まだ見ぬ景色を見てみたい。

本当にそれに尽きる。

そこから先は分からないけれど…。

頑張ろう。

 

なんだか濃いと思える期間だったし、日々を記録するのも良いなあと思ったのでちょっとサンプリングして日記を書いてみたりする。