釣道の頂を目指して

巨大魚に心を奪われたアングラーの心の掃き溜め。文多め、釣果少なめ。臆病で小心者の釣り人が描くサクセスストーリー(予定)。

◯◯◯という男

友人が偉業を成し遂げた。

GTフィッシングの聖地への遠征で20kg弱のGT。

しかもほぼ情報のない地磯で、過酷な状況・環境の中で、という演出付き(これが重要)。

彼にとっては最高のドラマだったと思う。

ただ釣るだけとは違う本当に価値のある一匹だ。

大学生の間でしかこんな素晴らしい形でGTをキャッチするのは難しいだろう。

 

この◯◯◯という男は地べたを這いつくばって釣りをしているような奴だから釣られてしまったけど自分も嬉しい。

大学生だから道具も完璧なものを揃えているわけではない。

ルアーは安価なプラ製ばっかだし、リールは型落ちのもの、ロッドだってショアロッドよりずっと安いオフショア用のロッドだ。

釣りの遠征費をためるためにろくな食事もしてないし、服なんかもずっと同じものを着てる(これは言ってはいけないかも笑)。

それでもそんな不利な環境を乗り越えるだけの並外れた精神力と情熱をこいつは持っている。

一緒に遠征に行く度に彼の強さ、タフさには驚かされる。

だからこの一匹はただの一匹なんかじゃない。

中途半端な想いやお金だけでは永遠にたどり着けない、血の滲むような努力と肉体と精神の限界を超えた境地、そこに辿りついたものしか手に入れられない本当に価値のある一匹なのだ。

もっと大きいサイズをオフショアや沖磯で釣っても主観的にはこういう一匹には遠く及ばない。

 

きっと今回の遠征の具体的なポイントとか、ヒットした時の状況とか、それまでのいきさつとか、もっと参考になるようなものを書けばブログ的には美味しいんだろうし、みんなもそういうものを求めているんだろうけれど、自分が今回一番伝えたいのはそんなものではなかった。

オ◯二ーみたいなもんで見てくれている人には申し訳ないし、他人の釣った魚なのに自分がなんでこんなに語ってんだとも思うけれど、他人から見てもそれほどまでに込み上げてくるモノがあの一匹にはあった。

 

彼は釣った後も多くは語らなかったし、運が良かっただけだと言った。

仮にそれが運だとしても、奇跡だとしても、それは今までの彼の努力が連れてきたものだし、その奇跡はこれからの彼に多くのモノを与えるんだろうと思う。

本当におめでとう。

 

対照的に自分はと言えばダメだった。

友人がキャッチできて嬉しいけれど、本当に不思議なくらいそれに対して汚い気持ちはないけれど、やっぱり悔しもんは悔しいし、自分の番はいつになるんだという焦りは一層強くなった。

そしてその時が来た時に果たして自分はそれを獲れるだろうか。

 

いろいろな思いが頭の中を駆け巡る。

悔し涙なんか流したの部活やってた時以来だろうか。

バンプを聴いたのも久しぶりだなあ。

 

…やっぱり本気で獲りたい。

この気持ちを忘れないように、自分はまたゼロからのスタートだ。